忍者ブログ
Admin / Write / Res
織田信長が殺された本能寺の変を盗賊の石川五右衛門を主役にして書いてみました。「藤吉郎伝」の続編としてお楽しみ下さい
[1]  [2]  [3
[PR]
2017/08/22 (Tue) 00:58
Posted by 酔雲
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

トンビ








 六月三日、夜が明けると同時に安土城から、きらびやかに着飾った女たちが大勢、武装した兵に守られながら、日野城へと向かって行った。

 同じ頃、琵琶湖に停泊していた船から、武装した男たちが次々に上陸し、ほとんど無人と化した城下を荒らし始めていた。

 城から女たちが逃げて行くのに気づき、追い討ちをかけたが、日野から迎えに来ていた蒲生忠三郎の兵の鉄砲に撃たれて引き下がって行った。

 湖賊らは女たちを諦め、城へと向かった。大手門を打ち破り、城内へ潜入し、重臣たちの屋敷へとなだれ込んだ。すでに、それらの屋敷も数人の者が守っているだけだった。必死に抵抗したが、湖賊たちの襲撃に敗れ、屋敷は荒らされた。

 我落多屋の二階から、マリアとジュリアは遠眼鏡で城を見ていた。

 摠見寺の参道を湖賊たちが登り下りしているのが見える。時々、鉄砲の音が鳴り響き、寺の財宝を抱えた男たちが得意顔して階段を下りていた。

 番頭の久六が薄汚れた腹巻き(鎧)を持って二階に来た。

「ひでえもんじゃ。湖賊どもはやりてえ放題をやっておる。まもなく、ここにも来るじゃろう。お前らも、こいつを付けて草履(ワラジ)をはいていろ」

「戦うのネ?」とマリアは刀を抜く構えを見せた。

「馬鹿言え。戦って勝てる相手じゃねえわ」

「じゃア、逃げるの?」

「違う。奴らに化けて、ここを占拠した振りをするんじゃ。奴らが来たら、部屋の中をメチャメチャにして目ぼしい物を捜してる振りをしろ」

「成程、それは名案ネ」とジュリアは手を打った。

「いくら、仲間の振りをしても、奴らは女に飢えている。その綺麗な顔は汚しておいた方がいいぞ。着物もな。ついでに部屋の中も汚しておけ」

 マリアとジュリアは庭に飛び出し、井戸水を撒いた土の上をキャーキャー言いながら転がり回り、泥だらけになって、土足のまま二階に上がった。腹巻きを身に付けると面白がって部屋の中を荒らし回った。

 一階でも山から下りて来た修行者たちが武装して、部屋の中を荒らし回っていた。

 ガラクタが積んであった店の中は足場もない程、メチャクチャになった。
PR
トンビ








 夢遊が命懸けで、毛利の軍勢を眺めていた頃、安土に明智十兵衛の軍勢がやって来た。

 荒れ果てた城下を眺め、十兵衛は顔をしかめながら城へと向かった。

 暴れ回っていた湖賊たちは慌てて船へと逃げて行ったが、船は去る事なく、成り行きをじっと見守っていた。

 十兵衛は引き連れて来た兵を展開して、城攻めの態勢に入った。摠見寺を本陣とし、二の丸と天主のある本丸を囲むように兵を配置した。

 城を守っている木村次郎左衛門に城を明け渡すように使いを送ったが、次郎左衛門は断って来た。十兵衛は仕方なく、総攻撃を命じた。半時(一時間)余りの猛攻のすえ、次郎左衛門他、城内にいた兵は皆、討ち死にして果てた。

 十兵衛は天主に登り、最上階から四方を眺め回し、天下を我が物にした事を実感していた。飛び上がって、大声で叫びたい心境だったが、家臣たちの見守る中、それはできなかった。

 ふと、夢遊のとぼけた顔が浮かび、夢遊だったら、こんな時、どんな態度を取るのだろうかと考えてみたが、十兵衛には見当もつかなかった。難しい顔をしたまま、キラキラと輝く琵琶湖の景色を楽しむと満足そうにうなづいて、最上階から降りて行った。

 四階の屋根裏部屋にある一万枚の黄金を見て、無事だった事を喜び、気前よく家臣たちに分け与えた。

 黄金は地下蔵だけでなく、四階の屋根裏部屋にも一万枚置いてあった。信長に案内されて天主内を見物した者は皆、その黄金を目にしていた。夢遊もそれを見ていたが、地下蔵に三万枚余りもあるのを目にして、四階の一万枚もここに移したのだろうと思っていた。

 黄金の蓄えられていた地下蔵の扉も打ち壊されたが、そこに黄金があった事を知っている者はいないし、抜け穴も発見されなかった。

 湖賊は消えたが、今度は明智の軍勢が城下にあふれた。十兵衛の命令が徹底しているため、城下を荒らし回る事はなかったが、兵たちは空いている屋敷に入り込んでは、思い思いに休息していた。
ランキング
人気ブログランキング
ブログ内検索
プロフィール
HN:
酔雲
HP:
性別:
男性
自己紹介:
歴史小説を書いています。
酔雲の著書













最新コメント
[06/10 酔雲]
[06/09 春日飛憂]
[06/05 アメリカ留学]
最新トラックバック
テクノラティ
テクノラティお気に入りに追加する
バーコード
忍者ポイント広告
楽天市場


アクセス解析
Copyright ©  時は今‥‥石川五右衛門伝 All Rights Reserved.
*Material by Pearl Box  * Template by tsukika
忍者ブログ [PR]